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体調症状別サウナ活用法
 自律神経の働きを高める−サウナ浴 
 世の中が複雑化し、ストレスにみちみちている今日、男性にも女性にも自律神経失調に悩む人は多く、自律神経失調症は一種の文明病、現代病とさえいわれています。
 原因のはっきりしない頭痛、めまい、疲労感、不眠、食欲不振、ふるえ、四肢の冷え、発汗異常、動悸、息切れ、胸痛、便秘、下痢、朝起きるのがつらい……など、自律神経失調といわれる症状は、実に多様です。
 こうした、はっきり病気ではないけれども気分がすぐれない訴えを、専門家は不定愁訴と呼び、医師の診断を受けると、自律神経失調症と診断されるわけです。
 そして私たちは、なんとなくわかったようなわからないような気分で、自律神経失調という言葉を使っているわけです。
 西ドイツでは、こうした自律神経失調症の人には、サウナ浴による自律神経の機能強化の訓練を指導しています。


  自律神経とは  反対の働きをする神経が、私たちの臓器を支配しています

 西ドイツの指導法をみる前に、ここで少し自律神経とは、どういうものかを述べておきましょう。

●交感神経と副交感神経とがあります
 自律神経には、交感神経と、副交感神経の2つがあります。
 この2つが、それぞれ反対の働きをしながら、体のバランスをとっています。
 呼吸をつかさどる肺、全身に血液を送り出す心臓、食物の消化吸収を行う胃腸、どれ1つをとっても、この交感神経、副交感神経の2重支配を受けないものはありません。
 たとえば、心臓については交感神経は促進作用を、迷走神経中に含まれる副交感神経は制止作用を、血管に対しては前者は収縮を、後者は拡張を起こさせる働きをしますし、胃や腸などの消化管の運動には、前者は抑制的に、後者は促進的に、瞳孔においても、前者が拡大を、後者が収縮を起こさせる、という具合です。ホルモンのバランスも同様です。

●自律神経失調症は、相反する神経のバランスの崩れ
 このように互いに相反する作用がつり合ったところで、私たちの体の各機能は正常に保たれているわけです。
 私たちが眠っている間も、肺や心臓が動き、胃や腸が食物を消化するために動いているのも、この自律神経が働いていてくれるからなのです。
 ですから、はじめにあげたような症状−つまり自律神経失調症という症状が起きるのは、交感神経と副交感神経の均衡−バランスが崩れて、どちらかの作用が強くなりすぎた結果、起こるのです。


  自律神経失調症  本人のツラさが周囲に理解されない困った症状です

 自律神経失調症のもっとも特徴的なことは、はじめにあげたような多種多様な諸症状が、なんの前ぶれもなしに急に出てくることです。ですから、仕事に対する根気が急になくなったり、躁うつ状態が急に激しくなったりして、まるで精神病的な印象を与えることも少なくありません。
 さらに、この病気のもっとも厄介なところは、患者がいらいらと症状を訴えても、いざ診断してみると、体の器質的な病変がどこにも見当たらず、医師に“どこも悪くないです”と片づけられてしまうことです。
 本人は、つらくて仕方がないのに、医師にも周囲の人にもそのつらさを理解してもらえず、苦しむことが多いのです。
    


  女性に多い  自律神経失調症の6割以上が女性−それも主婦

 こうした自律神経失調症がなぜ起きるかといいますと、その原因はさまざまあり、いちがいにはいえません。しかし、大きく分けると、生まれつき自律神経の働きが弱い体質の場合(本態性)と、もともとは異常のない自律神経が、心身のストレスなどによって乱されたことによって起こる心因性のものとに分けられます。
 このうち、圧倒的に多いのが心因性のものです。そして、自律神経失調症と診断された人の6割以上が女性、それも家庭の主婦だというデータもあります。とくに更年期前後の卵巣機能のホルモンの減少によって起こることが多いようです。
 いずれにしても自律神経失調症を治すにはストレスの解消を上手にはかることとともに、自律神経を強くするように錬えることです。


 

 高温短時浴  高温短時浴と冷水浴の交互浴が自律神経の機能を高める

 はじめに西ドイツでは、自律神経強化の訓練にサウナ浴が積極的に用いられている、と述べました。
 それは、高温短時浴と冷水浴の交互浴です。高い温度の乾燥浴と冷水浴の反復刺激によって自律神経の機能を高め、内臓器官の働きを高めようというわけです。
 90度前後の高温浴をすると、まもなく皮膚の血管は広がります。この状態でサウナから出て冷水浴や冷水シャワーを浴びると、皮膚の血管は強い刺激のために急激に収縮し、すぐにまた以前よりもいっそう拡張するという激しい変化をくり返します。この急激な血管反応が自律神経を刺激し、その強化にたいへん効果があるのです。
 入り方としては、80〜90度の高温乾燥浴を5分間したあと、冷水浴を3分間−これを4〜5回くり返します。
 こうしたサウナによる自律神経強化を続けながら、過労やストレスを避け、規則正しい生活を心がけることも大切です。

 


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